睡眠

ショートスリーパーってどうやってなるの?「快適睡眠づくりフェア」のある無料セミナーを受講して感じたこと

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快適睡眠づくりフェアのステージ

最近睡眠に関する製品発表会にいくと、専門家の先生のショートセミナーを聞く機会が得られます。概ねみなさんおっしゃることは私が学んだことと同じなので、ふむふむ。基礎知識に遅れを取っていることなないのだな、と確認することもでき、非常にありがたいです。

睡眠に関するセミナーが増えてきました

ただ、微妙なところで数値が違うなと思うことも増えてきました。

ある先生はAについて*時間だといい、別の先生は*時間だというといった具合です。それがそのままそれぞれ記事になっていくわけなので、若干見解が異なる記事が増えていくのですよね。

このあたりは、先生方の所属する団体などで共有されている情報に差があるのかもしれません。常に最新の論文(おそらくは海外のほうが進んでいる)をチェックしているわけでもないかもしれない。

むしろ新しい興味深い情報、見解が海外に本家を持つテック系、ハック系のウェブ媒体から流れてくることもあって、おそらく先生方はそういう媒体をご覧にならないので、なんとなくズレも生まれてくるのかな、なんて思い始めました。

細かい部分については違いはあれど「自分に適した時間、しっかり眠ったほうがいいよ」という点については同じなんでけど。

ショートスリーパーは作れるというけれど?

それを根底から覆そうというセミナーが「快適睡眠づくりフェア」でぶっぱなされたのです。

それは「ショートスリーパー」の商標を持っている(!)という堀さんという方の講演でした。彼はその講演で「人が睡眠で悩んで欲しくない。強迫観念をなくしたうえで、快適な睡眠を得て欲しい」という願いが根底にあることを明かしつつ、「筋肉とおなじでだれでもショートスリーパーになれる」としました。

おお!?

そんな短眠メソッドが語られる40分なのね!

これまでの睡眠の常識とどう違うのかしら!

と期待しました。

手元のインストラクター向けのテキストによれば

睡眠 科学の分野では,日常的に5時間未満の睡眠しか取らず,それでも日中に強い眠気を感じ ず正常に日常生活を送れている人を短時間睡眠者(ショートスリーパー)と称します。

とあります。ショートスリーパーの人は、遺伝的素因が強いとされ、全体のわずか0.5%しかいないと言われています。業界でも

短眠メソッドは「百害あって一利なし」であり、かえって心身の健康が大きく損なわれる可能性が高い。

として危険視されております。

しかし「能動的なショートスリープは過労死しないし、何ら問題ない」というのです。その例として、多忙を極めるであろう芸能人の名前も上がりました。

確かに多忙な芸能人は1日3時間くらいしか睡眠時間がとれないことも多いようです。子どもの頃の記憶でいうと、ピンクレディーがそうだったそうです(古すぎだろう)。

でもあとから聞くと、忙しすぎて睡眠時間がなくて、その頃の記憶がほとんどない、なんて語る方もいらっしゃいますよね。うん。睡眠は記憶の整理と定着の役割も果たしますが、もう言われるがままに動くしかなくて、覚えていられないくらいひどい毎日だったということだと思うんです。

でもその辺は触れずに、睡眠のセミナーでよく語れるエビデンスを叩いていきました。

私はメモを取りながら思っておりました。

「いつメソッドでてくるんだろう」

途中で「〜なんですよアハハハッ!」という興奮気味の笑いなども混ざりつつ、ご自身が30分で大丈夫なことや、お子さん(赤ちゃん)が短時間睡眠で成長していることなどは紹介されましたが、叩いたエビデンスの代わりになる情報ソースのみならず、短時間睡眠者になるメソッドは一切明かされることなく終わってしまいました。

印象としては、ショートスリープのメリットをシェアしようというより、何かと戦ってる自分をアピールしているという印象で、聴講者は完全に置き去りにされた感じがしました。

あのね。その場には初めて睡眠のセミナーを聞きに来た方もいたと思うんですよ。なのに、既存エビデンスひたすら否定するだけで終わってしまったら、初めて睡眠とは?と思ってきた方はどう思うでしょうか。

最初に「忖度しない!」と宣言されてスタートしたので何事かと思ったのですが、敵陣営に対して言いたいことを全力で言うぞ!みたいなセミナーでした。

私は

  • どのような訓練で変われるのか
  • ショートスリーパーになった人は、生活がどう変わったのか
  • 仕事のパフォーマンスがどう変化したのか
  • 脳科学的に脳波はどうなったのか
  • 短時間睡眠は記憶力への影響はないのか。
  • 睡眠サイクルとしては、どのような形になっているのか

が知りたかったのです。だから40分そこに座っていたのです・・・・・・。

最適な睡眠時間に関する調査データ

確かに読者はエビデンスの元ソースまで見られません。英語の文献隅々まで読んでから考えるなんてこともできませんね。それは認めます。

ということで、手元の資料だけですが、今一度睡眠時間に関する情報について、集めてみました。

一般的には(統計的に)睡眠時間は7時間前後だと、死亡率も低くていいらしいという話になっています。昔の研究により、それが通説になっています。たぶん、その後大規模な追跡調査などがされていないので、同じ論文がずっと使われているんだと思うんですが。

たとえば、私の手元のテキストや資料によると、昔米国で100万人以上の追跡調査が行われています。

2002年に米国の精神医学者であり睡眠研究者であるクリプケ(Kripke)医学博士が、30~102歳 100万人以上男女を対象に大規模調査を行ったそうです。これにより統計学的な結果として人で健康に支障をきたさない睡眠時間は、6時間30分から8時間未満であることが明らかになっているそうです(Kripke. D. F., Arch Gen Psychiatry, 2002)

これはKripke博士自身が1979年に行った研究の追試だったそうですが、他の多くの研究でも同様の結果が示されているとされていました。

その1例なのかもしれませんが、30〜69歳の女性 2491名、男性2222名を対象にした疫学調査(Win-gard, D L., Sleep,1983)では、7〜8時間の者と比べ、6時間未満の者の9年後死亡率の相対的リスクは1.7倍と報告されたそうです。

これにより「睡眠は質だけでななく睡眠時間も需要な要素である」とされたようです。

日本での10万人以上の調査を含め7時間であることが判明しているといいます。

その出典は不明ですが、こちらの研究もその1つではないかと推測。

JACC Study 睡眠時間と死亡との関係

 生活習慣とがんなどの病気の発生や死亡との関係を検討し、日本人の生活習慣病を予防するための方法を明らかにするため、私たちはコホート研究と呼ばれる研究を行っています。コホート研究を行うためには、多くの皆さまの協力をいただき、長い時間をかけて、病気の発生や死亡状況を観察する必要があります。現在、全国45地区約11万人の方々にご協力をいただき、1988~90年にアンケートにより集められた情報を基に、研究を行っています。今回、約10年間追跡をした結果、睡眠時間の長さと死亡率との間に興味深い関係を見出し、専門誌に発表しましたSleep 27巻 51-54ページ 2004年)。その概要を報告します。
https://publichealth.med.hokudai.ac.jp/jacc/reports/tamaa1/index.html

いずれも15年以上前の調査なのですが、睡眠の記事で引用されているのは、だいたいこのあたりだと思います。

睡眠中の成長ホルモンってどれくらい出てるの?

セミナーの中で「何時から成長ホルモンが大量に出てるって言いますけど、何倍でてる? 誰も知らないじゃないですか! 多くの人が使ってるわりに知らないんですよ!」と力説されました。

成長ホルモンは「時間」で出るものではありません。

朝夕関係なくいつも出てますが(筋トレしてる方なら知ってるはず)、もっとも多く分泌されるのは、最初の深い睡眠時とされています。最初の周期なので、だいたい寝てから最初の3時間くらいの間、という表現もされますね。

手元の教科書のグラフをそのまま使うわけにはいかないので、文字で失礼しますが、分泌量を表すグラフを見ると、最初の深い睡眠に入る前までは7〜8ng/mlを示していたのが、深い睡眠に入ったところで24ng/mlくらいまで跳ね上がっていました。テキストのグラフでは約3倍くらいでしょうか。

ていうか、数字あるし。

これはおそらく被験者の平均値なので、どれくらい出ているのか、そもそも個人差があると思います。

また、深い眠りに入ったときの分泌量も、そのときの眠りの質にって大きく左右されそうです。

いつ気分を聞いても「I'm great!!」みたいな方がグレートな生活習慣の中で寝てるのと、ストレスフルな方では大きな差もありそうですし。

とはいえサンプルとして出てるということは、実験として穏やかな状態においたうえでの数値だと思うので(本人が被験者としてのストレスを感じていたかどうか知らないし、いつものおふとんじゃないだろうなとも思いますが)

最初の深い睡眠をビシッとキメられたら、成長ホルモンの分泌は通常の数倍にはなるのかな

って思ってました。

ちなみに成長ホルモン の分泌能力は、35歳〜70歳までほとんど 差異のないことも判明しているそうです。

若さと体力でカバーできている可能性もある

「エビデンスの多用の仕方、切り取り方に気をつけて」と何度も述べられていましたが、結局ご本人から対抗できるエビデンスがなかったので、なんともいえない気持ちに・・・・・・。

エビデンスを否定しまくるよりも、メリットがあるという明確なデータを示すことでもっと印象は違ったはずなのに。

どれだけエネルギッシュに活きていても、40歳を過ぎたときガクーンと体力の低下を感じて、そこからみんな睡眠に注目し出してるのが今だ思うんですね。

だから今短眠者になったという方々が、今後20年でどのような変化を示すのか、そこにとても興味を抱いています。

予防医学研究者で医学博士の石川善樹先生も、過去のセミナーで「案外若さや体力でカバーできているだけで、本来取るべき睡眠時間が取れていないかもしれません」と安易な短眠に警鐘を鳴らしておられました。

つい先日もとあるマットレスメーカーの内覧会でショートセミナーをされてましたので質問したのですが「セミナーをやる人には、ベーシックな知識を説明する人と、マイメソッドを語る人の2パターンある」と述べられてました。

「マイメソッドというのは、その人にとっての成功体験がベースなので、それが正しいかどうかは分からない。答えられないとしかいいようがない」

そうです。

なんにせよ個人差があるので、安易にチャレンジは奨められないですが(特に運転や機械操作など危険な仕事をしている方)、

「昼間に眠気に襲われず、頭がすっきりした状態で過ごせる」

というのがよく眠れた証なので、それを念頭に置いて判断するといいと思われます。

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