日本語教師案件ではないのですが、倍普日語を止める直前に中国人スタッフさん経由でご紹介いただいたお仕事案件が、すごいことになってしまったのでメモしておきます。もしかしたら日本語教師をしながらの副業、という点で選択する可能性もあるお話です。
1時間5000円の高時給文字起こし!?
紹介されたときの言い回しが
文字起こしの仕事で、1時間5000円の高時給
というものだったんです。もともとライターですし、仕事で取材の録音の文字起こしはしていましたし、1時間が作業時間じゃないにしても、1時間の録音の文字起こしで5000円というのは高時給とはいえないけれど、まあないよりマシレベルかなぁ? くらいの感覚でした。
こんなご時世ですし、在宅で自由な時間にそういうお仕事ができたらありがたいですしね!
AI学習のためのアノテーションだった(一応名目はそうらしい)
で、申し込んでみたところ、AI学習、ドラマ、文字起こし、アノテーションというキーワードがでてきました。
ざっくりいうと、AIの学習制度を高めるために、AIが一度翻訳したドラマの音声を、正しく翻訳しなおしながら、その音声にラベルをつけるというものでした。
音声の中には人間の発話として聞き取れる部分以外にも、雑音、ため息などの文字にしづらいもの、複数の人が同時にしゃべっているところ、歌あり音楽、歌あり音楽をBGMにしゃべっている・・・などいろんなものがありますよね。それをどこからどこまでがそういうものなのかを波形上で明確に区切ってラベル付けしつつ、聞き取れている部分はAIの起こしたテキストをチェック・修正し、場合によっては文字を起こし直すというものです。専用のシステムが用意されていました。
作業内容は初めてで非常に好奇心をそそるもので「へ〜面白そう」って思いました。
ていうか、作業自体は黙々とできて好きでした(笑)
時給に換算して 250円くらいの仕事だった(笑)
問題の給与ですが、何をどう時給とするのかってところが疑問だったんです。
ここが最終的に大きな問題になったわけですけど。
作業する音声というのは1回3分、たまに1分のデータが来ます。
1時間5000円というのは、この3分を積み上げて、有効時間が1時間になったところで、5000円の作業料を払うってことだったんです。
3分の音声データをどれくらいのスピードで処理できるかが勝負らしく。
慣れないうちは遅いけど、馴れてくるとスピーディに処理できるようになるから!ってことだったんですね。
でも、結果的にこの3分を処理するのに、30分はかかる事態となり(笑)
さらに有効時間とは?と疑問だったんですが、有効時間の定義が3分の音声データの中で、明確に文字起こしできる(台詞として有効な部分)だけ!と言ってきた。
なんだとーーーー!💢
ってことですよ。他の部分のラベル付けの意味はなんなんだよ!AI学習が目的なんだろ!?と。
自分の作業時間を実際にストップウォッチで測定してみて、時給を算出したところ、最初は500円くらいでした。処理時間もかかっていたので、スピードアップすれば800〜900円くらいには上げられるか?と期待しました。
が、途中でクライアントの翻訳精度に関する要求がどんどん上がっていきました。
当初は登場人物の名前などはオーソドックスな漢字を割り当てるだけでいいという話だったので、よどほ専門性の高い用語以外調べることもなかったんです。
それがすべてにおいて、ドラマや漫画内で使われているものを正確にあてるよう言い始め・・・・・・!
結果的に処理時間は短縮できるどころか延びてしまい、場合によっては時給250円レベルになったのです。
(単純にAI学習ならもっと地味なコンテンツでもいいと思うんですよね。NHKとか。でもテニスの王子様とか、孤独のグルメなど、まあ割と人気ありそうなアニメやドラマばかりだったことからしても、本当の目的は他にあったんだろうと推測してます)
作業の内容とその問題
- 自分が担当する3分のデータはなんなのか受け取るまでわからない。
- 3分のうち、オープニング音楽やエンディングがほとんどの場合がある(無効時間がほとんど→どれだけ正確に切り出してラベリングしても給与には反映されない)。
- 音声があってもほとんど聞き取れない、または泣いてる笑ってるなどの場合がある。一生懸命聞き取って判断しても給与には反映されない。
- ドラマ、アニメ(昔のTV版銀河鉄道999もあった)、映画化されたものなどが3分でやってくるが、いったいそれがなんのデータかさっぱり分からないのに、登場人物や技の名前を正確に書き起こすよう要求される。
- 音声データの中に「ご覧のスポンサーの提供でお送りします」というのがあり、明らかにテレビの録音?のようなデータで著作権に不安が生じた。
- 無効音声部分のタグ付け精度にやたらこだわりやり直しをさせるのに(種類がかなりある!)、そこは給与に反映されない部分だったと給与確定時に判明。
- 確認作業をして、リワークを出すチェック担当者も、リワークを出してもそれが支払い対象にカウントされないと判明。
- 登場人物の漢字表記にもこだわるため、それが何の番組のどの回なのかなど検索にやたら時間がかかり、3分1本を処理するのに1時間かかることもあった。医療系、科学捜査班的な会話は、用語の特定に難易度がさらに増す!
- なんだかんだで時給換算で250円くらいになることが判明。
人によっては、5000円の有効時間になるまでに2〜4時間、4〜5時間など、求人当初の情報にかなりバラツキがあったことも問題視されました。
どれだけ熟練してもそんな時間でできねーよ!というわけで、日本人作業担当者のLINEグループで大ブーイングが起きました(笑)
2時間で5000円分の仕事できたら時給2500円ですから確かに高時給なんですけど、実際は3分のアノテーションに慣れた人でも平均30分はかかるので、60分やるのに10時間も使っちゃう!
でも担当したファイルの時間に対して支払われるわけではなく、その中の有効音声部分のみだから、目も当てられません。
私もわりと判断しやすい主題歌などの時間のときは「ボーナスタイムだな♥️」なんて思ってたんですけど、とんでもなかったです。
改善要求を出したら、その仕事は終了することになった(使い捨て?)
3分の作業には無効音声のラベリングもある。だから3分に対してまるまる支払って欲しい!
最初の募集条件とはまったく見合わないじゃないか?
せめて何の断片かコンテンツの名前をくれ!
熟練のリーダー格の男性が要求をとりまとめてくれました。そして間に入っている会社はそれを会議にかけると言ってました。
ここで、改善要求をまじめに検討してくれるならまだよかったんですが、なんとその案件自体あっさりクローズすることになりました。
全員脱力w
残りをできるひとは早くやってくださいみたいな感じで。
やれるだけやらせて、文句言われたらしっぽ切って逃げるみたいな・・・・・・。
給与自体は過去にその会社の別の案件で作業した人がちゃんともらっていたそうなので、払われるらしいですが、そこにこちら側の要求は反映されないので、まじめにたくさん作業した人ほど人生の貴重な時間を無駄にしたような状態になってしまいました。
AI学習とはいってますが、最終的には中国で流すドラマや映画の字幕が作りたいんでしょうね。合法か違法化は知りませんが。めちゃマニアックなアニメの戦闘シーンで出てくる、普通なら絶対しらないような複雑な技の名前とか、AIがどう頑張っても翻訳できないものばかりですから。
隙間時間に仕事したい! でも時給に換算していくらになるのか明確にしておこう(当たり前だけど)
担当の方はN1レベルの日本語を話す中国人で、対応もまじめでおかしなところはなかったんですけど、クライアントが問題だったんですかねぇ。
中国 、AI、ドラマ、在宅ワーク、文字起こしのキーワードがでてくる案件は、どのような基準で支払いされるのか、日本の物価基準に照らして事前に十分確認しましょう。
このご時世、お仕事がゼロよりあるほうがマシという感覚で飛びついてしまいがち・・・。
最終的にはその人の価値観次第ですけどね。
「アノテーション」はこれからのAIの進化のためにも欠かせない作業なので、それ自体がいけないというのではないので念のため。
今回は日本の物価に照らすと超低時給案件なのに、
- 誇大な表現で求人が行われた。
- 支払額確定時まで「有効時間」の詳細が伏せられていた。
- 作業させておきながら作業とみなさない時間が多すぎた。
というのが大きな問題です。
ネットとパソコンがあればどこにいても作業できるんで、私も最初は「早く熟練の域に達して、風の時代の収入の柱の1つになったらいいなムフフ」なんて思っちゃったです。それと日本語学習動画の制作を平行したかったんですよねぇ。無念!
というわけで、参考になれば幸いです。
有効時間の比率が判明
2021年6月18日、給与が振り込まれました。
作業したのは111本に対して、締日までの分として68本分の音声データが支払い対象になったようです。
金額は7,788円でした。
68本×30分(1本分の平均時間)2040分の労働対価が7,788円でした。
今回は時給に換算して229円でした。
3分の音声データ内の有効時間比率は49.2%だったようですが、一応平均として42−55%なんだそうです。
最初からみんな質問していたんですが、教えてくれませんでしたね。
目安として20本やったら60分で、5000円くらいと教えられていましたから。
給与は支払われましたし、ちゃんと作業したデータの有効時間などを明細にしてくれるのですが、この実態をまったく知らずにまじめに作業をしていた人は、やった分時間を吸い取られる形になってしまいました。
その会社は「ITOWARE」という名前で、Twitterアカウント持っており、現在もその案件に対する応募を受け付けてます。
もし仕事をしてみたいと思った方がいらしたら、どうかこの情報も届きますように・・・・・・。